X線TVシステム FLEXAVISION ユーザーズボイス

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嚥下検査に適したシステムがリハビリテーションに活躍

放射線科 盆子原 優子 先生
リハビリテーション部 言語療法科 藤田 学 先生

藤田 学 先生

藤田 学 先生

地域の摂食嚥下リハビリを牽引

当院は福岡市内の南部に位置する、リハビリテーションと透析医療を特色とした123床の病院です。「ひとりひとりのライフステージに応じた最良の医療・福祉を提供する」を理念とし、地域に根差した医療を提供しています(Fig.1)。
現在、医療の場は病院から在宅へと拡大し、これまで以上に在宅での医療・福祉の提供が求められています。当院では訪問診療をはじめ、訪問リハビリや通所リハビリ、更には併設の介護老人保健施設、訪問看護ステーション等を屈指し、地域医療の一翼を担わせて頂いております。
リハビリテーションに関しては初代院長が早くから積極的な取り組みを行い、1981年には当時まだ国家資格となっていなかった言語療法の導入を開始いたしました。現在、ST(言語聴覚士)は13名在籍しており、成人の失語症、構音障害、嚥下障害、高次脳機能障害などのリハビリに取り組んでおります。
今後も専門性を高めつつ、医療・福祉・保健の連携を推進し、地域の医療に奉仕していきたいと考えています。

長尾病院

Fig.1 病院外観

需要の高い嚥下造影検査(VF;videofluoroscopic examination of swallowing)

当院に於いてX線TV装置FLEXAVISION F3(以降F3)を使用する検査の約4割が嚥下造影検査(以降VF)です。VFは毎週木曜日に3~4件実施しており、年間で約100件程度となっています。
最近は入院患者だけでなく他院からの紹介や検査依頼も増えています。
経口摂取回復促進加算や胃瘻造設時嚥下機能評価加算の新設など、2014年度の診療報酬改定の影響もあり、依然として検査の需要は高い状態です。

リハビリや家族への説明に検査結果を有効活用

VFには診断的な意味合いと治療的な意味合いがあり、単にその患者が誤嚥するか否かを判断するために行うものではありません。検査時に咽頭残留や誤嚥などの異常所見が確認された場合には、どのような嚥下代償法を用いるとこれらの異常が軽減され、より安全な経口摂取が可能となるかを検査の中で確認します。このように有効な嚥下代償法の有無や訓練プランに加えるべき嚥下基礎訓練などを検査医と共に検討します。また担当STは検査後に結果の動画を見直し、再度分析・確認することで訓練をより効率よく進められるよう努めています。さらにこの動画は患者・家族への説明や転院時の添付資料としても広く活用しています。

1.5m X線管引き伸ばし機能などVFに適した設計

十分な検査空間の確保もX線TV装置機種選定時の優先検討事項の一つでした。VFは検査の特性上、30度までリクライニングをかけた状態での透視撮影が出来なければなりません。当院では、頭頸部を安定させるために背面が高い位置まであるタイプのVFチェアを使用しているため、リクライニング時にVFチェアのヘッドレストが映像系の支柱に阻まれることなくポジショニングが確保できる空間が必要になります。また検査は主に側面撮影(Fig.2)にて実施しますが、正面撮影(Fig.3)を必要とすることも少なくありません。X線管を1.5mまで引き伸ばしできるF3では、背もたれを倒しても患者にストレスを与えることなく十分に正面撮影が行える点で有用です。
さらにF3はベースプレートがコンパクトなので、方向転換など車椅子の操作が行い易いと感じています。その他、胃瘻造設時や中心静脈カテーテル挿入時にベッドサイドコントローラで医師が手技に望ましい高さに寝台を自ら調節できる事も好評です。

側面撮影時
Fig.2 側面撮影時
正面撮影時
Fig.3 正面撮影時

高画質で広い視野がVFに有効

14×17インチのFPDをタテ・ヨコ回転できる点はF3を選んだ理由のひとつです。VFでは状況に応じて検査中にリクライニングの角度を変えることがあるため、普段使うパネル中央の12インチ範囲では時に画像を得ることが困難な場合があります。このようなケースでもパネルを90°回転し最大で17×14インチと視野を広くできる為、対応できています。また映像も高画質で、評価の精度も向上しています。

被ばくが低減でき安心

VFは様々な模擬食品やポジショニングで検査するため検査時間が長くなりますが、パルス透視15ppsを使用し、且つI.I.装置からのFPD装置への更新により被ばく線量が低減できるため、患者だけでなくスタッフも安心して検査に臨むことができています。
被ばくに対する意識は院内でも高まっていたため、機種選定時に被ばく低減も検討されFPD装置を導入する一因となりました。

専用画像記録システムで効率よく画像保存

F3と一緒に導入した画像記録システムには次のような利点があり、記録・保存作業を行う上で作業効率が向上しています(Fig.4,5)。

透視画像記録システム(左)と遠隔操作卓(右)
Fig.4 透視画像記録システム(左)と遠隔操作卓(右)
画像記録システム画面
Fig.5 画像記録システム画面
  • 放射線照射と同時に自動で録画できる。
  • 検査の摂食条件(リクライニング角度・模擬食品の種類・量)をプルダウン入力できる(図中①)。
    尚、プルダウンで表示される用語は編集や追加が容易に可能であり、必要項目を自由にカスタマイズできる。
  • ①で入力した摂食条件が自動で動画に挿入される(図中②)。
  • 1ショット毎にファイルが作成され、ファイル名の一部に摂食条件が自動的に挿入されるため、検査後の見直しや検討が行い易い(図中③)。
  • 各ショットは検査前に予め作成しておいたフォルダ(当院では患者氏名をフォルダ名にしている)に、撮影した順に自動で番号が付けられ、保存される(図中④)。
  • スイッチングハブを使用することでVFとVE(嚥下内視鏡検査)の検査画面を簡単に切り替えることができる。また、VEの撮影動画も同一フォルダ内に自動保存される。
  • 検査時は音声も録音されるため、被検者の反応や検査医の指示も記録することができる。
  • パルス透視15ppsを使用しているが、VFガイドラインに則った30フレーム/秒でAVI Fileでの録画でも画質に問題はない。

検査データを幅広く活用

動画ファイルは汎用性の高いAVI形式で保存されるため、特殊なコーデックを必要とせずにほとんど全てのPCで再生が可能です。そのため転院時の添付資料として利用する際にも、特に編集等を必要としません。受け取る側もファイル名に摂食条件がそのまま入っているため、閲覧がしやすいのではないかと思います。また学会発表や勉強会の資料を作成する際にも、PowerPointへのVF動画の貼り付けが容易に行えています。

先生の一言
VFチェアのセッティングを行う上で、X線管を1.5m まで引伸ばせる点やベースプレートがコンパクトで検査の為の空間が広く確保できる点が有用です。更に今回、導入した画像記録システムもVF結果の記録や保存に適しており、様々な場面で活用できています。
  • FLEXAVISION は(株)島津製作所の商標です。
製造販売認証番号
218ABBZX00202000 据置型デジタル式汎用X線透視診断装置 [X線テレビシステム FLEXAVISION]
据置型デジタル式汎用X線診断装置
据置型アナログ式汎用X線診断装置
  • ※本医療機器は複数の一般的名称に該当します。