回診用システム

MEDICAL NOW No.74

MEDICAL NOW No.74

MobileDaRt Evolution使用時の新生児および術者・付添者への被ばく線量

新潟大学大学院医歯学総合研究科
宇都宮 悟

はじめに

新生児医療において,胸部X線画像撮影は胸部病変の診断に非常に重要な役割を果たすことはよく知られている1)。しかし,撮影による患児の被ばく線量が多くなると将来の発がんのリスクの上昇等が懸念される。また,NICU(新生児集中治療室)で回診用X線画像撮影装置を使用する際には,患児のごく近くに術者や付添者がいることが多く,彼らの被ばく線量も気になるところである。このような状況を受けて,胸部X線画像撮影における患児,さらに付添者および術者の被ばく線量についての関心が近年特に高まっていると言える。測定に基づき,被ばく線量を精度よく評価する事が求められている。
最近はFPDを搭載したデジタルX線画像撮影装置の普及が目覚ましく,NICU での回診用デジタルX線画像撮影装置の使用も増えている。デジタルX線画像撮影装置を使用する利点は様々あると思われるが,画像表示までの時間短縮や,画質の向上などが挙げられるだろう。Fig.1に示す島津製作所社製のMobileDaRt EvolutionはCanon社製のフラットパネルディテクター(FPD)であるCXDI-60Cを搭載した回診用デジタルX線撮影装置であるが,その操作性,画質において高い性能を示すことが報告されている2)。そこで我々はMobileDaRt Evolutionを用いて胸部X線画像撮影を行った際の患児とその周囲(術者や付添者)の被ばく線量を測定によって定量的に評価し,被ばく線量の低減が可能かどうかの検討を行った。詳しい研究内容は原著論文3)を参照していただきたいが,本稿ではその研究内容を簡単に紹介する。
本研究では,線量測定を行う前にFPDの基礎特性(デジタル特性)を調べた。次に患児を模した個体ファントム上にpatient skin dosimeter(PSD)を配置して患児への被ばく線量を測定し,その値が撮像条件にどのように依存するかを調べた。また,NICU において保育器(アトムメディカル社製Incu i)の中の患児を撮影する条件を可能な限り再現した上で,X線画像撮影時の保育器周辺の線量をサーベイメーターを用いて測定し,術者の被ばく線量を推定した。実験で用いた機器はCanon社製のFPD(CXDI-60C)を搭載した島津製作所社製MobileDaRt Evolution である。MobileDaRtEvolution は管電圧が40-133 kV,mAs 値が0.32-320 mAs の範囲での撮影が可能である。CXDI-60CはシンチレータにCsI を用いたFPD で,ピクセル数が1464 × 1776 で,最大画像サイズが23 cm×28 cmである。
本稿で紹介する研究は,著者が京都大学大学院医学研究科在職中に門前一准教授をはじめとする京都大学の医学物理グループの方々との共同研究として行ったものである事を付記させていただく。

胸部X線画像撮影時の被ばく線量推定実験
測定位置(上)と線量測定結果(下)

  • 参考文献
  • 1)梅崎光:当院の新生児医療におけるMobileDaRt Evolution の使用経験, MEDICALNOW No.71, 2012.
  • 2)柳田智:ワイヤレスFPD 搭載MobileDaRt Evolution の使用経験とその有用性,MEDICAL NOW No.71, 2012.
  • 3)Utsunomiya S, Monzen H, Akimoto M, Mukumoto N, Ishihara Y, Shiinoki T, Nakamura M, Miyabe Y, Sato S, Matsuo S, Hiraoka M :A feasibility study on reduction of the entrance-surface dose to neonates by use of a new digital mobile X-ray system, Radiological Physics and Technology, Volume 6, Issue 1, pp 157-161, 2013.
  • MobileDaRt Evolutionは(株)島津製作所の商標です。
製造販売認証番号
220ABBZX00229000 移動型デジタル式汎用X線診断装置 [回診用X線撮影装置 MobileDaRt Evolution]
移動型アナログ式汎用X線診断装置
X線平面検出器出力読取式デジタルラジオグラフ
  • ※本医療機器は複数の一般的名称に該当します。