PETシステム

MEDICAL NOW No.69

MEDICAL NOW No.69

重粒子線がん治療の現状と今後の展望

群馬大学 重粒子線医学研究センター
大野 達也

はじめに

現在,粒子線治療に用いられている主な粒子は陽子と炭素イオンであり,それぞれ陽子線治療,炭素線治療と呼ばれる。加速した粒子をがん治療へ応用するアイデアは,1946年に米国ハーバード大学のウィルソン博士によって提唱された。しかし,高性能の加速器がないために体の深部まで粒子線を到達させることが出来ず,標的となるがんの位置も正確に診断することが出来ないなどの理由から,しばらくの間は研究的治療としての位置付けであった。その後,高性能の加速器が開発され,エックス線CT装置をはじめとする画像診断技術が発達して治療計画に応用出来るようになってはじめて,粒子線治療の普及が進んだ。
特に1990年代以降の稼働施設は,それまでの研究所附属の治療施設から病院附属の治療施設へとシフトしており,先端的がん治療としての粒子線治療は,次第に現実の医療の中に定着しつつある。これまでに粒子線治療を受けた患者数は,世界中でおよそ8万人と推測されているが,内訳でみると,陽子線治療が86%,炭素線治療は9%を占めている(粒子線治療世界会議:PTCOGホームページ)。現在,全世界では30以上の陽子線・炭素線治療施設が稼動しており,さらに15施設以上の建設が行われている。ここでは,炭素線治療を中心に,その特徴や治療成果を述べるとともに,2010年に治療を開始した群馬大学の状況を紹介する。

がん治療に用いられてきた主な放射線

がん治療に用いられてきた主な放射線

Resolution phantom(JIS Z4922)による比較

治療室の様子