近赤外光イメージング装置

MEDICAL NOW No.82

MEDICAL NOW No.82

回復期リハにおけるfNIRS の活用
~機能回復に関わる神経ネットワークの解明と治療への応用~
回復期リハビリテーション病棟協会第29回研究大会in広島 ランチョンセミナー7

大阪大学国際医工情報センター 臨床神経医工学寄附研究部門
(現,川崎医科大学 神経内科学)
三原 雅史

2017年2月10日~11日に開催された回復期リハビリテーション病棟協会第29回研究大会において,当社は病棟協会との共催によりランチョンセミナーを開催しました。宮井一郎先生(社会医療法人大道会副理事長森之宮病院院長代理)を座長にお迎えし,当社装置をお使いいただいている三原雅史先生に「回復期リハにおけるfNIRSの活用」と題してご講演いただきました。従来NIRS(Near Infrared Spectroscopy:近赤外分光法)は,ヘモダイナミックレスポンスを介して脳活動を見ることで脳の機能画像を取得できる研究装置として捉えられてきましたが,本セミナーではこの技術を研究のみならず“リハビリの治療機器”として使用できる新たな可能性についてご提案いただいています。

脳機能評価装置NIRSの特徴とリハビリ研究例

私たちが普段何気なく行っている動作は,手足が勝手に動くわけではなく脳が制御することで行われているが,脳がどのようにして運動を制御しているのかということは十分に解明されていない。脳の運動制御の解明は研究としても臨床としても非常に重要なことであり,脳機能を計測する技術としては現在いくつかの手法がある。一つは脳波や脳磁図といった,脳の神経細胞の電気活動やそれに伴う磁場の変化により脳活動そのものを直接評価する手法。もう一つはPETやfMRIといった脳の神経活動に伴う血流変化を観察する手法で,今回紹介するNIRSもこちらのカテゴリーに属する。NIRSは脳血流を評価する手法で,神経が活動すると活動部位に血液が豊富に流れ込むNeurovascular couplingという人体のシステムを利用して,血流が局所的に変化しているところが脳の賦活部位であると逆に推定する。具体的には,皮膚や頭蓋骨を透過する性質を持つ近赤外光を用いて主に血液中のヘモグロビン(以下Hb)による近赤外光の吸収度合の変化を測定する。Fig.1のように,光ファイバーの一端から近赤外光が照射され,それが大脳皮質中で血液中の酸素化Hbが増加した部位を通過すると通常よりも光は多く吸収される。このため,脳から出てくる光の変化を計測し,Hbの変化量すなわち血液の変化量を推定しているわけである。

NIRSの原理と特徴

Fig.1 NIRSの原理と特徴