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当社血管撮影システムの新バージョン「unity edition」が稼働開始 −小倉記念病院様−

平成紫川会小倉記念病院様において、当社血管撮影システムの新バージョン「unity edition」の稼働が開始されました。同院では国内初のPCIを行われた当時から現在まで、当社血管撮影システムをご使用いただいています。今回は、心臓血管内治療のパイオニアであるとともに、日本の循環器疾患治療をリードする同院が、当社装置を選び続けられる理由、そしてunity editionの魅力を安藤献児循環器内科診療部長・主任部長、曽我芳光循環器内科部長、一ノ瀬良二放射線技師部部長にお伺いしました。

安藤 献児
循環器内科診療部長・主任部長

小倉記念病院

まずは小倉記念病院様の発展と歴史、それとともに歩んできた当社血管撮影システムについてお伺いします

安藤
小倉記念病院では、内科に赴任された延吉正清先生*が、1974年(昭和49年)に循環器に特化した診療を内科で開始されました。その後、野坂秀行先生と伊藤幸義先生が来られ、1979年(昭和54年)に循環器科として増設されました。この頃からカテーテル検査が、1981年(昭和56年)からはPCIが始められました。延吉先生に当時のことをお聞きすると、スタートしたばかりの循環器科には高額な血管撮影システムはとても買ってもらえないということで、島津の胃透視の装置で心カテをされていたそうです。心臓血管外科の伴敏彦先生*から、バイパス手術をするために心カテをしてほしい、とお願いされて行われていたそうですが、胃透視の装置では血管が全然見えなかったようです。そこで島津と一緒に研究して、シネフィルムの心カテ透視装置へと改良していったと聞いています。
私が小倉記念病院に勤め始めたのは1996年(平成8年)ですが、まだ手動式Cアームとシネフィルムで心カテが行われていた時代で、その状況の中で電動式Cアームが登場しました。2005年(平成17年)頃から当院でもシネフィルムはなくなり、デジタル化されていきました。その後もフラットパネル化や、様々な画像処理技術が開発されて、画像が飛躍的に良くなりました。島津のおかげで、多くの患者さんを治療できているので、非常に良かったと思ってい ます。

曽我 芳光 循環器内科部長

一ノ瀬 良二 放射線技師部部長

治療技術の進化と当社血管撮影システムの変遷について、診療技術部の視点からお聞かせください。

一ノ瀬
私が小倉記念病院に勤務し始めた30年以上前は、満足のいくC-アームの装置もなく、島津と共同で冠動脈用のCアーム装置を開発し、小倉記念病院独自の装置体制をつくっていただきました。その頃に冠動脈用のデバイスが飛躍的に進化して、1990年代に登場した新しいデバイスの国内治験すべてを小倉記念病院が最初に行っていました。島津の装置もそれに貢献していったというのが、当時の印象として大きいです。
その後一番の装置の変化であり、私の中でも最も大きな出来事は、フラットパネルの登場でした。特に、最初の頃は、どのメーカーも苦戦していましたし、島津の1号機も大変苦労した思い出があります。その中で島津とノイズ対策や電源部分などについてディスカッションを重ねながら、リアルタイムに少しずつ装置を変化させていきました。臨床でどう使えるのか、延吉先生をどうしたら納得させることができるか、ということが大きかったと思います。
フラットパネルがある程度落ち着いたところで、次はPCIに特化したアプリケーションが進化してきました。すべてのデバイスが進化する中で、DESのストラットも薄くなっていき、それとともに視認性が悪くなっていきました。その中で、他の装置でもステント強調のアプリケーションが登場しましたが、処理に時間がかかり、また得られる画像も静止画のみだったこともあり、他の施設に聞いてもほとんど使っていなかったようです。そこで、島津がリアルタイムのStentViewを開発し、これがきっかけとなりステント強調アプリケーションの話題も増えました。リアルタイムだからこそ、よく使われたのではないかと思います。心臓の場合は、時間が勝負というところがありますので。

貴院では現在、不整脈治療やEVTまで行われていますね

安藤
しています。最初はもちろん、冠動脈は造影のみで、バイパス治療をしていました。また、エルゴノビン負荷をかけてメディケーション治療をしていたのですが、1981年にPCIが始まって、1990年代にベアメタルステント治療、2000年代半ばからは、アブレーションとEVTが盛んになってきました。これがきっかけとなって、アブレーションの場合はシングルではなくバイプレーンが必要になり、EVTでは足の特殊造影が必要になってきたため、装置も冠動脈だけではなくていろいろな分野に対応できるよう進歩してきたのではないかと思います。

その中で、当社の血管撮影システムが果たしてきたことは何でしょうか?

曽我
小倉記念病院としての柱が心臓と“何か”であったのが、別の大きな柱としてアブレーションもEVTも出てきたので、1台で複数の役割を果たす必要性が出てきました。今までは冠動脈用の装置で足も撮影していたためカバーできる範囲が限られていました。しかし、足は長くて、腸管などもあるので、心臓用で撮影すると画像のクオリティーがあまり良くなかったのです。しかし、そのあたりをうまく改善していただいたので、そこは良かったと思っています。
私が、島津で良かったなと思ったのは、率直に、呼んだらすぐ来てくれることです。国産メーカーなので対応が早い。小さなことでも対応してくれて、細かな改善の積み重ねで最終的にはクオリティーの高い画像ができあがっていると思いました。

装置の信頼性や、サービスについてはいかがでしょうか?

曽我
ほかの病院では管球が急に切れる、といったトラブルを聞くのですが、あれだけヘビーに使っている割にはそういう経験はほとんどありません。
安藤
ほぼ毎日、フルで使っているのにです。万が一、何かあっても、サービスマンが翌日には直してくれています。
一ノ瀬
昔からずっとそうですね。とにかく、島津の装置は壊れないです。あと、起動が早いです。特に緊急時には非常に重要で、助かっています。また、島津装置の大幅バージョンアップとしてイメージが定着しているreBORNですが、装置デザイン、アプリケーション、操作性、全てが新製品と同等になるので、コストの観点からも、ユーザーにとっては大変ありがたいです。

画質の面ではいかがでしょうか?

曽我
先程も言ったように、画質は改善の積み重ねで、本当に良くなりました。腸管と血管が重なる部分では、造影剤の色が薄くなるため、狭いのか、狭くないのか、分かりにくい時がありましたが、輪郭やシャープネスが上がって、評価しやすくなりました。冠動脈も良くなりましたね。
安藤
以前はワイヤが見えにくいと感じることもありましたが、非常にスムーズになりました。輪郭もシャープで、エッジも効いていて、良くなったと思います。

今回16インチ×12インチ視野タイプのC16 unity editionへとreBORNいただきましたが、その点についてはいかがですか。

曽我
まずは、両足が一画面に入るのがいいですね。また術中に、縦を16インチ、横を16インチと使い分けできるので、例えば、両足全長を撮影したいときは横にして追跡撮影しています。DSAの時も今までなら何回にも分けて撮影しなければならなかったため、造影剤の負担を患者さんにお願いしていましたが、撮影回数が減るので患者さんのメリットが大きいと思います。それでも冠動脈が撮れなければ意味がないのですが、冠動脈も普通に撮れます。バイパスなどでも追跡せずに見たい領域が全部入るため、ブレもなく撮りやすいです。
一ノ瀬
パネルサイズは大きくなりましたが、コンパクトですっきりしたつくりになっているから万能に使えるのだと思います。
また、曽我先生がおっしゃったように、追跡撮影の時は、16インチ側を横にすることで両下肢全長を1回で撮影できているのですが、テーブルも長手方向にストロークが長く、テーブル移動だけで足先まで撮影できています。
あと、新しくなった点でいうと、テーブルのチルト機能がありますが、用途に応じてこれから使い分けられるかなと思っています。検査室のテーブルサイドと操作室にタッチパネル式のコントローラーも追加されましたが、登録機能もカスタマイズでき、操作性は本当にいいです。

16インチ×12インチ視野での両下肢造影

unity editionから新たに追加されたタッチパネル式コントローラー・SMART Touch

EVT支援アプリケーションであるSCORE Chaseについては、いかがでしょうか?

安藤
SCORE Chaseはいいですね。テーブルを横に動かしても勝手に血管をつなげてくれるのはすごいですね。なぜ今までなかったのかと思います。当院に見学に来られた方は全員、驚かれます。
曽我
皆さん「これはいいね」と言ってくれます。従来は手動で血管の画像を繋げていましたが、画像の明るさも変わるので非常に苦労していました。SCORE Chaseのおかげで、この作業が不要になりました。画像を補正して瞬時に自動でつなげてくれるので非常に便利です。

SCORE Chase

Stent View

StentViewの視認性はいかがですか?
unity editionからは表示も3分割からフルスクリーンに変わりましたが。

安藤
視認性はすごくいいですね、リアルタイムでステントがよく分かります。使い始めた当初は慣れないところもありましたが、今は全く違和感なく使っています。
曽我
以前のバージョンに比べ、クオリティーが上がったと思います。
安藤
ステントの拡張不良や、ステントストラット1本1本が見えます。ここが狭いとか、よく見えています。
一ノ瀬
StentViewでは、複数のデバイスがある場合に、ROIによって、マーカーの検出エリアを設定できる機能もありますが、これも非常にいいと思います。少し慣れは必要ですが、使い勝手は大変いいです。特に動きが大きい右冠動脈の1~2番領域では、ROIを設定する効果が高く、より確実に良い画像が得られています。

DSAで3次元的な動きをリアルタイムに補正するFlex-APS についてはいかがでしょうか?

曽我
患者さんの細かい動き、震える動きに対しても自動で補正処理がかかるため、血管の辺縁などがよりクリアになっています。
一ノ瀬
そうですね。すごくいいですね。常に画像が自動補正されて、ミスレジのないきれいなDSAが表示されるので、それが当たり前だと思ってしまいます。違和感も全くありませんし、末梢血管の撮影に適していると感じています。

補正なし Flex-APS

補正あり

最後に、島津製作所に今後期待される点をお聞かせください。

安藤
島津は十分期待に応えていますよ。今後も国産メーカーとして海外メーカーに負けず、より優れた製品、アプリケーションを開発してもらいたいと思います。
曽我
ジャパンクオリティーで、トヨタの車みたいに10年以上壊れずメンテナンスフリーで、画質もよく、付加価値がある。そうであれば、初期投資が高くても納得できます。
一ノ瀬
両先生がおっしゃる通り、国産メーカーの強みを活かしてもらいたいです。日本独自の使い方をする部分もあるので、その点を理解してもらいやすいのではないかと思います。操作性もシンプルな方が確実に使いやすいのですが、島津の装置は簡単に使えます。このあたりは日本人ならではの発想力だと思います。SCORE RSMのように「おっ、これは」という独自の発想に期待します。
あとは、周辺機器との連携ですね。最近では周辺機器が増えてきているので、IVUSなどとの関連性は必要になってくると思います。
安藤
これからもっと、世界で羽ばたいてもらいたいと思います。大いに期待しています。

本日は、ありがとうございました。

2018.3

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