X線TVシステム SONIALVISION G4 ユーザーズボイス
胆膵内視鏡検査で
SUREengine FASTの
低線量モードが高い評価!
放射線科 科長
森 吉修 先生
放射線科 係長
石井 良和 先生
当院の胆膵内視鏡検査について
SONIALVISION G4(以下G4)を使用した検査は大腸検査も含め600件あり,そのうち胆膵系の検査は年間400件弱で,ほとんどがERCPです。
当院における胆膵系の検査で臨床放射線技師の役割は,装置や画質管理はもとより,術中における担当医師との阿吽の呼吸を特に大事にしています。ERCP中は常に臨床放射線技師を1名アサインします。休日,夜間,緊急の検査,処置の場合を除き,固定の3名を専任技師として運用しています。
G4導入における胆膵内視鏡検査の改善
責任医師が代わったときや装置更新時には,その責任医師と画像のサイズや左右反転,ネガ/ポジ表示などを予め打ち合わせを行い細部まで詰めます。 現在ERCPは,視野サイズは12インチ,透視画像はポジでAP表示,撮影画像はネガに設定しています。 これらの設定は他検査も含め,検査毎に一括でプログラム設定ができるG4のプロシージャ機能を使用して管理しており,X線条件も自動でセットされます。仮に専任技師が付けない場合があったとしても,プロシージャを選べば初期設定は完了です。 ERCP時,患者さんは天板上で腹臥位をとられるのが一般的ですが,医師が内視鏡画像より透視画像に目線を移した際に違和感のないよう,表示はAP画像にしています。
ERCPではモニタ配置は特に重要だと感じています。G4導入時には,内視鏡画面を見ながら,目線をあまり動かさずに透視画像をすぐに見られるように,検査室内のモニタを配置してもらいました。
さらに今回,動画像録画用にピクチャ・イン・ピクチャを導入しました。ERCP中の透視画像は,G4より外部出力してもらい,内視鏡画像とともに,ピクチャ・イン・ピクチャで全てPCに動画保存しています。以前は内視鏡画像と透視画像を別々に保存していたので,非常に手間がかかりましたが,これなら両モダリティの同期した動画が記録できるので便利です。すぐに再生ができるので,術後に医師は動画像を見ながら自分の手技を確認する事ができます。例えば,力ニュレーション時の内視鏡のカメラワークなど,ベテラン医師との違いを見て勉強されたりしています。
当院の低被ばくへの取り組み
当院の術者への被ばく防護の意識は高いほうだと思います。術者は,背中側もカバーするフルカバーのプロテクターにネックガード,防護メガネをつけます。被ばく線量測定には胸部(または腹部)のガラスバッジ,水晶体用に頭部(頚部)もつけています。これは看護師も同様の装備です。その他,医師等の要望で,装置本体にX線管球から被せる形状の散乱線防護カーテンを取り付けました。
現在運用しているG4にはERCP用の透視画像処理エンジンにより,透視被ばくの低減が図られていて,①NormalDoseと②L2(Low Dose2)③L3(Low Dose3)を主に使っています。パルスレートは何れも15フレームです。更に7.5フレームの透視モードも準備されています。(【図1】を参照)
専任技師が担当している場合は,透視モードはL3からスタートさせ,患者さんの体格等で透視画像が見難くなる場合は,L2に切り替えています。その他コリメータを正しく操作し,不要な部分へのX線照射がないように心がけています。その点,バーチャルコリメータは特に便利です。透視の最終画像に対し,コリメータの絞り状態を表示できるので,透視がスタートする時点で最適な絞り位置にコリメーションされています。
検査直前に,担当医師から患者さんの病状や今回行う検査・処置について簡単に申し送りをしてもらっています。これにより検査・処置がどのように進められるかが予測できるので,透視や撮影のタイミングに活かせることができます。
【図1】各透視モードの線量率(AKR[mGy/min])
基本的に透視のタイミングは担当医師の指示で行います。技師は操作室にいるため,どうしても受身になり,タイミングがずれがちです。そのため,気持ちは検査室に居るように心がけています。専任で付いていると担当医師の手技の癖のようなものも分ってきます。例えば透視のON/OFFのタイミングが指示を待たなくても大体分かるようになります。術中は,透視画像と内視鏡画像,それに担当医師の目線の3点を見ています。そうすると内視鏡画像での進行状況から透視のON/OFFのタイミングが簡単に想像できますし,担当医師の目線が透視画面より外れたら透視をOFFにすることもできます。このような連携ができると,担当医師は手技に集中でき,不要な透視を極力減らすことができます。こういう場面で専任制が活かされていると思います。
参考までに,実際の手技でL2とL3の検査全体の線量比較ができるデータが見つかったので紹介します。
術中で配慮している点
最初の透視の時点で,目的とする管(胆管あるいは膵管)の走行を想定して視野の角度や位置を決めます。ガイドワイヤが挿入された段階では,微調整にてワイヤの先端と内視鏡のカメラの先端が両方見える視野位置を確保するようにしています。デフォルトでは12インチ視野ですが,挿入困難な場合は技師から声をかけて6インチに切り替えて拡大し,挿入されると12インチに戻します。内視鏡のスコープと関心領域が重なって見難い場合は,スコープを避けて関心領域を観察できるようにX線を斜入することもあります。
SUREengine FAST超低線量モードL3についてのご評価
第一印象は,「これは,すごい」と思いました。
この新しい低線量モード(L3)は,従来の低線量モード(L2)に比べて35%程度更に低線量化を実現していながらも,低線量化による画質劣化は殆ど見られませんでした。体格の大きな患者さんでは若干コントラストや粒状性は落ちるものの,通常ではガイドワイヤの見え方や造影剤とのコントラストなど,何ら遜色なく感じました。L3モードは,少し課題はあるものの通常のERCPでは十分に使えるレベルであり,これでノーマルモードに比べて線量が75%低減できるのであれば,大変有用だと思います。
線量管理は技師の仕事であり,そのなかでBESTの状態を術者や患者様に提供していくのは我々にとって大きな課題だと考えています。低線量透視機能SUREengine FASTは,高いレベルで画質を維持しながら,これだけ線量低減できるため高く評価しています。さらにSONIALVISION G4は,パフォーマンス的にも高い装置だと思います。
製造販売認証番号 | |
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224ABBZX00052000 | 据置型デジタル式汎用X線透視診断装置 据置型デジタル式汎用X線診断装置※ X線平面検出器読取式デジタルラジオグラフ※ 二重エネルギー骨X線吸収測定装置※ [X線テレビシステム SONIALVISION G4] |